血糖値を下げる果物とは?上昇させない食べ方や控えたいフルーツについて - 健康管理食ジョイント

食事療法

2022.07.21

血糖値を下げる果物とは?上昇させない食べ方や控えたいフルーツについて

血糖値を下げる果物とは?上昇させない食べ方や控えたいフルーツについて
馬塲 耕造
監修

馬塲 耕造

果物は不足しやすい栄養素を補給できるだけでなく、血糖値の上昇を緩やかにする成分を含むものもあるのです。この記事では、血糖値が気になるときに役立つ果物の選び方を説明します。栄養素の特徴や食べるタイミングなどを知り、健康に役立てましょう。
もくじ

血糖値を下げる作用のある果物の特徴とは?

果物は甘みや糖質が気になりますが、血糖値上昇の抑制や健康に有効な栄養素も含まれています。果物の特徴的な栄養成分を知って、血糖値の管理に役立てましょう。

果物の特徴的な栄養成分

糖質

果物の糖質は成熟するにつれてデンプンが減少し、ブドウ糖と果糖、ショ糖が増加して甘くなる特徴があります。ブドウ糖と果糖は最小単位の単糖類、デンプンはブドウ糖が多数つながる多糖類です。単糖類に分解されてからエネルギーに使われるため、果物の糖質はデンプンより消化吸収が速くなります。

ビタミンC

果物にはビタミンCが豊富に含まれ、肌のコラーゲン生成や鉄吸収の促進、免疫力向上など効能は多岐にわたります。体内に貯められないので、定期的に食事から補うことが必要です。ビタミンCは果物の鮮度の低下とともに減少するため、早めに消費しましょう。

カリウム

果物に含まれるミネラルのなかでも、カリウム含量の高さが特徴的です。体内にカリウムが十分あると、余分なナトリウムを排出できるので血圧の低下に効果的です。腎臓において老廃物の排出を助けることや、筋肉のスムーズな収縮もカリウムによる作用です。

食物繊維

食物繊維の中でもペクチンとセルロースを多く含みます。ペクチンは果実が未熟な状態ではセルロースと結合した不溶性食物繊維ですが、熟すとともに結合が解けて水溶性食物繊維となります。水溶性食物繊維は粘着性のため小腸での糖質の吸収を遅らせる作用があり、血糖値の急上昇を抑制できるのです。セルロースのような不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の量を増やすことにより便秘の解消に役立ちます。

有機酸

クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸は、酸味を感じる成分です。レモンやグレープフルーツのように酸味が強い果実は、クエン酸の割合が高くなります。りんごはリンゴ酸、ぶどうは酒石酸が特有の酸味成分です。クエン酸やリンゴ酸は乳酸の分解を促し、疲労回復に役立ちます。

果物に含まれる糖質の特徴

ブドウ糖(グルコース)

血液中のブドウ糖の量が血糖値です。体内ホルモンの中でも、インスリンだけが唯一血糖値を下げられます。細胞に取り込んだブドウ糖をエネルギー源として利用することや、余剰分を中性脂肪に合成することがインスリンの作用です。血糖値の急上昇を抑制するには、ブドウ糖の摂取量やインスリン分泌の節約が関わります。

果糖(フルクトース)

果糖は果実の甘み成分です。吸収後インスリンを必要としない経路をたどるため、直接的な血糖値上昇に関与しません。果糖の吸収はブドウ糖より遅いですが、吸収されたあとはインスリンの影響を受けないので、運動時の即時的エネルギー補給に有効です。ただし、果糖の過剰摂取は肝臓で中性脂肪に合成されるため注意しましょう。

果物選びの参考になるGI値

GI値とは

GI値(グリセミックインデックス)とは、食品摂取後に上昇する血糖値の上がり方を数値化したものです。GI値が低いほど、血糖値上昇が緩やかであることを示します。ブドウ糖のみ摂取した場合を100として、70以上は高GI食品、55以下は低GI食品です。血糖値の急な上昇を抑えるために、GI値を活用するのもよいでしょう。

果物GI値一覧

果物 平均GI値
すいか 76
メロン 67
パイナップル 59
バナナ 51
ブルーベリー 53
キウイフルーツ(ニュージーランド産) 47
ぶどう 46
オレンジ 43
42
いちご 40
38
りんご 36
グレープフルーツ 25

出典:日本糖尿病学会誌第56巻第12号GIとカーボカウント」

血糖値を下げるために摂りたい果物と控えたい果物

血糖値の上昇を抑えるために効果的な果物と、控えたい食品を紹介します。控えたいものは禁止ではないので、その特徴をとらえておきましょう。

効果的な果物

りんご

水溶性食物繊維のペクチンを多く含むことにより、糖質の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑える作用が期待できます。セルロースのような不溶性食物繊維まで摂取するには、皮ごと食べることがおすすめです。疲労を回復するリンゴ酸とクエン酸、高血圧予防に注目されるリンゴポリフェノールなどの成分も含みます。

いちご

GI値が40と低めで、血糖値上昇を抑制したいときにおすすめです。直接的にエネルギー源となる「単糖当量」が控えめなので、摂取カロリーを抑えられます。ビタミンCが豊富で、美肌作りやストレスによる消耗対策などに有効です。ヘタを取るとビタミンCが減り始めるため、食べる直前に処理をしましょう。

キウイフルーツ

血糖値の上昇を緩やかにするペクチンをはじめ、1日に必要なビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富です。皮にはたんぱく質分解酵素のアクチジニンが含まれており、肉の上に剥いた皮を乗せて焼くと柔らかく仕上がります。血糖値対策だけでなく、消化をよくして胃もたれ防止に役立つので、食後のデザートにおすすめです。

ブルーベリー

ブルーベリー抽出物を与えた糖尿病のマウスに血糖値低下がみられたという臨床研究から、血糖値対策にすすめられています。紫色を呈するアントシアニン色素は、高い抗酸化作用をもつポリフェノールです。眼精疲労や視力の回復にも役立ちます。アントシアニンは皮に多く含まれるので、皮まで丸ごと食べましょう。

出典:一般社団法人 日本ブルーベリー協会ブルーベリーのひみつ」

参考:分子栄養学:東京化学同人:6.代謝内分泌系に作用する食品成分

控えたい果物

スイカ

GI値76と高めで食物繊維含量が少ないため、血糖値上昇が気になるときは摂取量を控えましょう。スイカは1日200g(皮と種子を含めて約330g)までを目安に、食べ過ぎないよう注意が必要です。

参考:著 日本糖尿病学会「糖尿病食事療法のための食品交換表」

メロン

GI値が67とやや高く、食物繊維量が少ない点から摂取量を控えめにしたい果物です。食べる量は1日200g(皮などを含めて約400g)までを目安として、食べ過ぎに注意しましょう。

ドライフルーツ・加工品

乾燥工程によりビタミンが減少して、糖質の割合が高くなります。また、缶詰のような加工品は糖質が多いため「糖尿病の食事療法のための食品交換表」では「し好食品」として扱い、摂取には注意が必要です。フリーズドライや天日干しの方法で作られたものは、砂糖や油脂の添加がない製品もあるので製法による選び方も見直しましょう。

血糖値を上げない食べ方とは?

血糖値を上げない食べ方を説明します。目安量や食べるタイミングなどに注意して、血糖値の上昇を抑えましょう。

健康維持するための摂取量とタイミング

1日に200gが目安

厚生労働省および農林水産省「食事バランスガイド」による果物の摂取目安量は、1日200gです。食べる量は100gを2つ分と考え、みかんなら1日2個が適量です。果物の種類によって補給できる栄養は違うため、さまざまな種類をバランスよく食べることが理想的といえます。以下に示す100gの目安量を参考にしましょう。

  • バナナ……1本
  • みかん……1個
  • 柿……1個
  • グレープフルーツ……1/2個
  • キウイフルーツ……1個
  • りんご……1/2個
  • 梨……1/2個
  • 桃……1個
  • ぶどう……半房程度

出典:農林水産省「食事バランスガイド:1日分の適量

食べるタイミング

果物を食べるならば、朝が適しています。朝は排せつ、午後は消化、夜から朝は吸収の体内サイクルがあり、消化吸収の速い果物は朝の排せつを妨げません。さらに、酸味は筋肉や神経、胃粘膜を刺激して体を目覚めさせます。クエン酸は疲労回復に役立つため、昼やおやつ、運動時もおすすめです。エネルギーを多く必要としない夜や就寝前は、控えるとよいでしょう。

参考:講談社「からだの知恵・食のひけつ(著:正岡慧子)」

果物を摂取する際の注意点

食べ過ぎは中性脂肪を蓄積する

果物の食べ過ぎは糖質が中性脂肪として蓄積されるため、肥満のリスクが上がります。1日200gの適量を守るよう心がけましょう。

ジュースは糖質過剰と食物繊維不足になる

市販のジュースはフレッシュな果物に比べて糖質が多く、食物繊維が少ないという特徴があります。ぶどう糖の吸収が速く、血糖値が高くなりやすいので飲み過ぎに注意しましょう。

薬の服用時はグレープフルーツに注意する

グレープフルーツに含まれる成分には、腸管内での薬物の代謝を妨げて薬効に支障をきたす恐れがあります。特に血圧を下げる降圧薬との相互作用による副作用は注意喚起されているので、同時摂取には気を付けましょう。

皮ごと食べられる果物は丸ごと食べる

果物の皮には、血糖値の上昇予防となる食物繊維やポリフェノールなどの栄養成分が含まれています。皮や白いすじまで食べられる種類は、丸ごといただきましょう。

間食は煎餅より果物を選ぶ

果物のGI値が80以下に対して煎餅のような米菓はGI値87のため、米菓のほうが血糖値を上昇させます。間食において血糖値を上げない食べ方をするためには煎餅より果物を選ぶとよいでしょう。

出典:日本糖尿病学会誌第56巻第12号GI とカーボカウント」

糖尿病予防のための目安

1日の目安量は80kcal

糖尿病の食事療法のための食品交換表では、果物の摂取は1日80kcalを目安とされています。80kcal分の果物を、朝と間食にふり分けて食べるとよいでしょう。果物の80kcalの目安量は以下のとおりです。

果物 正味g(皮・芯・種子なし) 目安量
いちご 250 約12個
みかん 200 中2個
なし 200 約1/2個
グレープフルーツ 200 約1/2個
もも 200 1個
メロン 200 中1/2個
りんご 150 中1/2個
150 中1個
キウイフルーツ 150 1個半
ぶどう 150 約10~15粒
バナナ 100 中1本

出典:日本糖尿病学会「糖尿病食事療法のための食品交換表

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果物を上手に取り入れて血糖値のコントロールに役立てよう!

果物は、種類によって含まれる栄養バランスが異なります。不足しやすい栄養素を補給できるだけでなく、血糖値の上昇を緩やかにする成分を含む種類もあるのです。摂取量や食べるタイミングに気をつけて、血糖値のコントロールに役立てましょう。


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馬塲 耕造
監修株式会社ジョイント
監修馬塲 耕造

管理栄養士馬塲 耕造

1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。