栄養不足が原因?低アルブミン血症患者の食事対策と摂取すべき必要な成分とは - 健康管理食ジョイント

健康情報

2022.03.30

栄養不足が原因?低アルブミン血症患者の食事対策と摂取すべき必要な成分とは

栄養不足が原因?低アルブミン血症患者の食事対策と摂取すべき必要な成分とは
馬塲 耕造
監修

馬塲 耕造

栄養状態が悪いと筋肉量の減少や高齢者になった際に、寝たきりになるリスクがあるのです。私たちの栄養状態が良好か否かは、血液中のアルブミンという体たんぱく質で測定できます。今回は、アルブミンを増やす食事とコツについて詳しく解説します。
もくじ

低アルブミン血症とは

体内の血液中に含まれるたんぱく質の一つであるアルブミンの量が、通常よりも低くなる状態を指します。症状としては、全身のむくみ、尿量の減少、血圧の低下、胸水や腹水などです。

 

アルブミンとは

血液中の血清部分に含まれる、たんぱく質の一つです。血清に含まれるたんぱく質は、主に肝臓のみで作られるアルブミンと肝臓や骨髄で作られるグロブリンに分けられます。血清に含まれるたんぱく質のうち、アルブミンは約70%を占めているのです。血中アルブミンが低い場合、たんぱく質の摂取不足や肝臓の異常、腎臓や腸管からのアルブミン漏出の可能性を示します。

アルブミンの基準値

基準値は、4.1~5.1g/dlです。3.5g/dl以下の状態になると、低栄養状態であると判断されます。アルブミンの半減期(血中濃度が半分になる期間)は21日であるため、約3週間前の栄養状態を表す指標となります。

アルブミン(ALB)値による低栄養状態の度合い
  • 1~3.5g/dl…軽度低栄養
  • 5~3.0g/dl…中等度低栄養
  • 5g/dl以下…重度低栄養

出典:日本臨床検査標準協議会(JCCLS

低アルブミン血症の原因

ここでは、低アルブミン血症の原因について詳しく解説します。

1.食事から摂取するたんぱく質量の低下による低栄養状態

加齢や病気による食欲不振で食事量が低下すると、たんぱく質の摂取量も低くなる傾向にあります。良質なたんぱく質を食事から補えず、体たんぱく質が低下して低アルブミン血症(低栄養状態)になります。低栄養状態が続くと、免疫力の低下や代謝異常など、健康な身体を維持することが困難になってしまうのです。

2.肝臓でのアルブミンの産生低下

アルブミンは主に肝臓で合成されます。肝機能が低下するとアルブミンの合成障害が起こり生産量が減少し、低アルブミン血症が引き起こされるのです。

3.血中アルブミンの喪失

アルブミンは腎臓でろ過され、尿管で再吸収されます。しかし、ネフローゼ症候群により腎機能が低下すると、アルブミンがろ過されずに体外へ排出され、低アルブミン血症を引き起こします。

低アルブミン血症の診断方法

血中アルブミン値が低い場合、判断されます。さらに肝機能や腎臓の検査、浮腫、腹水といった全身の状態などを総合的に見て、低アルブミン血症の原因を診断します。

 

低アルブミン血症の食事対策の基本

肝臓や腎臓の疾患が原因の低アルブミン血症は疾患の治療が必要ですが、低栄養によるアルブミン低下の場合は食事療法が有効です。ここでは、低栄養状態を改善するための食事の基本について解説します。

栄養状態を改善し、アルブミン値を上げるために必要な栄養素

栄養状態を改善するには、十分なエネルギーとたんぱく質を摂取する必要があります。

良質なたんぱく質

たんぱく質は、20種類のアミノ酸から構成されます。身体で生合成されない9種類を必須アミノ酸と呼び、食事からの摂取が必要です。この必須アミノ酸が食品中に含まれている割合を数値で表したものを、アミノ酸スコアといいます。アミノ酸スコアが100に近いほど生体内で効率よく利用されるため、良質なたんぱく質と呼ばれるのです。

アミノ酸スコアの計算方法

食品中のアミノ酸スコアは、計算で出せます。

「食品に含まれるたんぱく質の第一制限アミノ酸の含有量」÷「アミノ酸評定パターンの当該アミノ酸含量」×100

第一制限アミノ酸とは、食品中で最も少ないアミノ酸のことを指します。また、アミノ酸パターンでは、第一制限アミノ酸が国際基準で定義されています。

代表的な食品のアミノ酸スコア
食品 アミノ酸スコア
鶏卵 100
豚肉 100
牛肉 100
鶏肉 100
100
あじ 100
大豆 100
ヨーグルト 100
牛乳 100
精白米 61
食パン 44

出典:日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)アミノ酸パターン

肉や魚、卵といった食品は、「アミノ酸スコア100」の良質なたんぱく質といえます。また、ごはんやパンなど炭水化物を多く含む食品は、単品で見るとアミノ酸スコアはやや低くなります。しかし、たんぱく質食材と組み合わせて摂取することで、不足しているアミノ酸を補給できるのです。

一日に必要なたんぱく質の量

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参照してみましょう。一日に必要なたんぱく質の推奨量は以下のとおりです。

  • 成人男性…65g(65歳以上は60g)
  • 成人女性…50g

これは、体重1㎏あたり1.0~1.2gに相当します。

 

低アルブミン血症を予防するための対策

低栄養が原因の低アルブミン血症は、日常の食事を改善することで予防できます。ここでは、低栄養状態にならない食事内容や効率よく栄養を摂取するための対策について解説します。

栄養バランスの取れた食事

主食(炭水化物)、主菜(たんぱく質)、副菜(ビタミン、ミネラル)の3点がバランスよくそろった食事です。さらに、卵や大豆製品といった良質なたんぱく質が不足しないよう、積極的に食事から摂取することが大切です。

高齢者の場合

高齢者は食事量が減ることにより低栄養状態が続くと、日常生活の活動性や意欲の低下、筋肉量減少につながります。高齢者の筋肉量の減少は、寝たきりへとつながる可能性もあります。そのため、食事からエネルギーとたんぱく質を補給する必要があります。

エネルギーをしっかり補給する

食事量を増やすと、自然と摂取エネルギー量も増えます。しかし、高齢者の場合は食欲が低下していることが多いため、食事量の増加は難しい傾向にあります。そこでおすすめの方法が、一日3回の食事を5回に増やして摂取する分食です。分食をすることで、1回の食事量を変えずに総エネルギー量を増やせます。同時に、以下のような方法も試してみましょう。

  • ドレッシングやマヨネーズを使って、カロリーアップする
  • 間食に、おにぎりやパンといった体内でのエネルギー利用効率の高いものを摂る
  • 1食で食べる量が少ない場合は分食にし、食事の回数を増やす

たんぱく質をしっかり摂取する

高齢者が一日に必要なたんぱく質量は、成人とほぼ同量です。低栄養が続いている場合や寝たきりの場合は良質なたんぱく質を摂取し、褥瘡(じょくそう)を予防しましょう。食事から十分にたんぱく質が補給できないのであれば、プロテインやたんぱく質強化食品などの補助食品を使用してもよいでしょう。また、以下のような方法を取り入れるのもおすすめです。

  • 食事をする際は、肉や魚、卵などのたんぱく質食材から食べる
  • 一日1回は、ヨーグルトや牛乳などの乳製品を摂取する
  • 毎食、必ずたんぱく質食材を取り入れる

水分もしっかり摂取し脱水に注意する

高齢者は感覚機能の衰えにより、喉の渇きを感じる力も鈍くなっています。そのため脱水状態になりやすく、喉の渇きを感じる前に水分を補給する必要があるのです。脱水状態では血中の水分量が低下するため、アルブミンは高値となります。脱水状態が続くと命の危険もあるので、早め早めの水分補給を心掛けましょう。また、以下の対策も行なってみてください。

  • 毎食、必ずコップ一杯の水分を一緒に摂取する
  • 決まった時間に水分補給をするよう、スケジューリングする
  • トイレに行ったあとは水を飲むなど、一つの行動に連動させる

 

栄養バランスが整った食事で低アルブミン血症を改善し、QOLを向上させよう!

食事からの栄養が不足すると、低栄養状態になり低アルブミン血症となります。低栄養状態を改善するには、バランスのよい食事からエネルギーとたんぱく質をしっかり補給することが重要です。まずは食事内容を見直し、低栄養にならない食生活を送りましょう。

ジョイントの宅配弁当で健康的な食生活を

ジョイントの宅配弁当は管理栄養士が監修しているため栄養バランスの整った食事を

摂ることができます。毎日食べることで低栄養を防ぎ、健康的な食生活を楽しみましょう。

馬塲 耕造
監修株式会社ジョイント
監修馬塲 耕造

管理栄養士馬塲 耕造

1950年生まれ。国立循環器病研究センター 栄養管理室長、大阪刀根山医療センター 栄養管理室長、関西福祉科学大学 福祉栄養学科 客員教授。現在、優れた知見をもとに当社商品の監修と管理栄養士の指導を行い、お客様の栄養相談も行っている。